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ΧΙ∧∃Χ (ゼビモドキ)

 ΧΙ∧∃Χ *1は2017年にリリースしたMSX2シューティングゲーム。MSXdev'17*2のFreestyle Categoryで、極めて形式的ながら優勝*3した。

 スペインのMATRA COMPUTER AUTOMATION*4からオファーをもらい、ROMカートリッジとして販売された。以降、MATRAが2021年にMSX分野から撤退するまで、本作を含め計8作のROMカートリッジゲームをリリースすることになるが、その記念すべき第1作ということになる。

 

コンセプト

  • その名の通りゼビウスオマージュのシンプルなシューティングゲーム
  • 空中物しか登場しない、被撃破で巻き戻らずそのまま続行になる、やたらとゲーム進行が早い、など、実際のところはかなりゼビウスとは異なるテイストになっている。
  • 基本4 LEVELのエンドレス。3周目まで登場する敵の組み合わせが変化していくので、都合全12 LEVELになる。これに加え、数値表示はされないがスコアとそれに連動する背景シーン切替に合わせて敵弾密度が7段階変化したり、周回によって敵撃破に要する弾数が増える、といった複合難易度を採用している。

技術的特徴

  • MSX2としては珍しくVRAM64KBで動作する。
  • ゲーム本体のほぼすべてがタイマー割り込みとして実装されており、SCREEN 1であればBASICプログラムを書きながら動作させることができる*5
  • オリジナルはフロッピーからのブート前提に製作。ROMカートリッジ化に際し、dsk2rom*6を使用した。
  • ROM版ではほとんど意味を失っているが、ノンストップのゲーム進行のために全画像データを一気にVRAM64KBへ読み込み、以降ゲーム中はベースアドレス切替のみで背景用PCGの差し替えをおこなっている。

裏話

  • 普通に遊ぶと登場しない隠しボスが存在する。登場条件は (1) LEVEL 5冒頭で出現する自機を周回飛行する敵機を誘導して敵弾を1つ以上破壊する、(2) LEVEL 8半ばで登場する中型戦艦を、頭の部分を破壊すると撤退する胴体も含めて完全破壊する、(3) LEVEL 8末尾の浮遊要塞を撃破する、を満たした場合。隠しボスを撃破するとスペシャルボーナスとして難易度が一旦下がると共に、以降ゲーム進行中スコアカウンタが回り放しになる。
  • 本作はそもそもMSXdevに出すつもりなどまったくなく、暇潰しに作りながらその経過をYouTubeで垂れ流していたものだったが、これに気づいた旧知でありスペインでは名の通ったMSXゲーム開発者であるIMANOK*7に強く勧められ、しぶしぶMSXdevへの参加を決めたのがそもそもの始まりだった。
  • MATRAは当初以下に示すゼビウスの丸パクリ装丁で本作を売りに出すつもりだったようで、ゲラを見せられた時点で流石にそれは勘弁してくれ、とやめさせた。スペイン人とのカルチャーギャップを強烈に感じたエピソードである。

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ゼビモドキ装丁ボツ稿

 

*1:これで“ゼビモドキ”と読む、というか読ませる。

*2:https://www.msxdev.org/

*3:そもそもエントリ作品数が少なく、かつゼビモドキ以外は言ってはなんだがゲームの体を成していなかった。

*4:http://www.matranet.net/

*5:実用上の意味はまったくない。

*6:http://home.kabelfoon.nl/~vincentd/

*7:http://imanok.msxblue.com/