Geistburg relics

自分用外部記憶箱

Draconic Throne

 Draconic Throneは2017年にリリースしたMSXシューティングゲーム。MSXdev'17*1のClassic Categoryで準優勝、投票によるCommunity Prizeで同率首位をいただいた。

 スペインのMATRA COMPUTER AUTOMATION*2から、ΧΙ∧∃Χと同時にROMカートリッジ版がリリースされている。

 

 

コンセプト

  • ドラゴンを操作して人間の兵隊を焼き払うダークファンタジー
  • 作者自身は、本作を嚆矢とする類似コンセプトの拙作ゲームを『主人公不死身系シューティング』と呼んでいる。本作では、プレイヤーはいくら被弾してもかまわない一方で、被弾する都度画面左方へ追いやられ左端に追い詰められればゲームオーバー、という造りになっている。プレイヤーの横座標がライフゲージそのもので操作によって回復できる、と解釈するのも可。
  • 4面(本作ではAGE)構成、AGE 5以降は1〜4の繰り返しだが攻撃パターンや速度が増えていくエンドレス。操作系にかなり癖があるためゲーム開始直後の難易度はかなり低目に抑えられている。

 

技術的特徴

  • 拙作としては初のROMカートリッジ化前提のフルアセンブラ構成。
  • 8方向入力+シングルトリガのミニマム操作系で、ドラゴンの飛行、首振り、ファイアボール射撃、ドラゴンブレスとその揺動、バレルロール回避、と多彩なアクションを繰り出すことが可能。作者としてはは、プレイヤーの感情を反映する操作系、を指向したつもりだったが、あまり評判は芳しくなかった。
  • 本作以降の拙作は、実行環境のVSYNC*3を検出しフレームレートを最適化する機能を実装している。

裏話

  • ROMカートリッジ版のみ、ブート時に上カーソルキーを押し続けておくとサービスメニューが起動する。MSX2以降のみVSYNC切替が可能で、15fps.のNTSCモードに対し、PALモードでは16.6fpsになり、難易度調整を兼ねている。
  • ROMファイル提供のMSXdev版のみ、タイトル画面で上カーソルキーを押しながらトリガしてゲームスタートすると、AGE 13からゲームが始まる。
  • 背景の月のグラフィックでROMカートリッジ版とMSXdev版を見分けることができる。
  • バレルロールの得点ロジックにバグがあり、実は作者が意図した仕様通りに動作していないが遊ぶ上では実害がない。
  • 本作、およびΧΙ∧∃Χのパッケージアートはスペインのアーティスト、Sirelion*4の手になるもので、これ以降、ボクは彼にパッケージ絵を描いてもらうことをゲーム開発の最大のモチベーションにしていた。

 

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Draconic Throne ROMカートリッジ版装丁

*1:https://www.msxdev.org/

*2:http://www.matranet.net/

*3:世界標準規格、となっているMSXであるが、実際には、国によって異なっていたアナログテレビの垂直同期周波数に対応した二種(60HzのNTSCと50HzのPAL)があり、MSXではこれがタイマー割り込みのトリガとなるため、一方のみを前提として設計されたソフトウェアをもう一方の環境で実行すると、タイマー割り込みに依存する部分の実行速度が1.2倍変化してしまう。

*4:Sire (@Sirelion) | Twitter